大変久しぶりの和菓子採集は亥の子餅。
まず名前にある亥の子とは?というところから。
亥の子とは亥の月の最初の亥の日のこと、またはその日に行われる行事のことです。
亥の月は旧暦10月に当たり、新暦では一ヶ月遅れ11月の最初の亥の日が亥の子となります。
その昔中国では
「亥子祝(いのこのいわい)」というものがあり、
亥の月、亥の日、亥の刻に穀物を混ぜ込んだ餅を食べると病気にならないという風習があり、
日本では平安時代に宮中行事として取り入れられました。
江戸時代にはイノシシが五行における水の神とのことから
亥の日に炉開きをおこない、この日から火鉢などを使い始めました。
ちなみにイノシシは炎の神、摩利支天(まりしてん)の神使といわれ、火災が起こらないと考えられていました。
火なのか水なのか??ややこしい…
そのため、江戸時代には亥の子の日に
火に関連する炉や炬燵(こたつ)をだはさて炉開き、炬燵開きをしたそうです。
亥の子餅はその亥の子の行事のときに食べるお餅のことです。
茶道では炉開きにもよく用いられる菓子としても知られています。
古いお菓子で源氏物語にも登場しています。
亥の子餅を田の神様に供えたあとに家族で食べ無病息災、子孫繁栄を祈り、また亥の子餅を贈り合う風習もあったそうです。
宮中から民間伝承していくなかで内容も変遷したせいか、
大豆、小豆、大角豆、胡麻、栗、柿、飴などをいれ餅をついたとされていますが
柏餅、水無月などのようにこれと決まった形があるわけではありません。
イノシシの子供にみたて模様をつけたり、先をすぼめうり坊型にしたり、穀物をまぶしてみたりなど様々です。
今回もその違いをお楽しみいただけるかと思います。
とらや
5.5 × 3×高さ3cm
鎌倉時代の文献にある製法を参考に、
きな粉・干柿・ごまを混ぜ込んだ餅製の生地で御膳餡を包みました
(HP引用)
生地はかため。
ねばりなくかなりしっかり目の餅生地です。
餅生地自体に干し柿、ごまがはいっているので黒っぽい茶色です。
口にするとすっと鼻にぬける干し柿のかおり。
あまみはとらやさんらしくしっかりめ。
まわりにしっかりと纏われたきなこは砂糖なし。
餡はしっかりのねられた硬めの餡でさらりととけるくちどけ。
あんともちがしっかりとしているので
噛みしめることを楽しめます。
川口屋
5.5×4×高さ3cm
川口屋さんらしく大変やわらかですべすべの餅生地。
ごまのプチプチ感が楽しめる野趣あふれるスタイルとなっており
中はかなり柔らかめのあんでみずみずしい粒あんとなっています。
甘さはかなり控えめで
なかには5ミリ角の干し柿とぎんなんが半分はいっています。
フレッシュなぎんなんのかおりがアクセントとなっています。
仙太郎
5.5×3×高さ2.5cm
硬さはとらや、川口屋の中間くらい?
なめらかな餅生地のなかには小豆が月混ぜられています。
餅自体には砂糖は入っていません。
小豆の皮の食感がおもしろい。
全体にあっさりした甘さで
最後にこくが残りすっと消えていきます。
老松
やわらかなまさしく赤ちゃんのほっぺのような餅生地。
粒がのこる餡の上にはくりがのってとり、
小豆粒の食感とくりのほくっとした食感の
二つがたのしめます。
餅生地自体には甘さがなく、全体の甘さは上品ですっときえていきます。
中村軒
肉桂が練りこまれ、さらにゴマとくるみがはいった餅生地にきな粉かまぶされています。
あんは、固めの練り上げで口どけのよい漉し餡。
プチプチとしたくるみの食感と
くるみのスモーキーさが香り立つなかに
ゴマの香りとあわせ弾けます。
噛み締め味わうこの菓子は
穀物を練りこんだということでは亥の子らしい菓子といえます。
お店によりかなり違いがあることが
わかっていただけたのではないでしょうか
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