一月のある日
芳心会 木村宗慎先生の会始茶会にて
生落雁を打たせていただきました。
先生ご配慮にて初釜にかわり、
社中門弟、関係者の方々の会として開催されました。
お席入りされた方々、
裏で響く木の音に気づかれたでしょうか
音もご馳走と楽しんでいただければ幸いです。
今年は
菓子木型をご専門に作られている
京屋さんに会始茶会用の木型を
作成いただきました。
完成した木型はとても美しく
芸術品のよう。。
生落雁の菓銘は「片喰松」
木村宗慎先生の家紋の片喰を
もとに松にも見えるデザインに。
木型から打ちだされる片喰模様は
雪の松のよう。
そのため、片喰松という銘に。
初日は雪の降る席で
庭に積もる雪にぴったりのお菓子となりました。
一緒に合わせたお菓子は
初釜の定番、西岡菓子舗の「つるのこ」。
こちらは幻の菓子と言われる逸品。
ふんわりと溶けるような生地のなかに
とろりとしたカスタードという
絶妙な組み合わせ。
中のカスタードの柔らかさは絶品。
まるで半熟たまごのようです。
写真は珍しい紅白バージョンで。
昭和初期に松山の老舗菓子店ほていやにて作られてたつるの子ですが
ほていやの廃業に伴い、長らく製造されていませんでした。
その後にほていやで修行されていた
西岡菓子舗のご主人が試行錯誤の末に復刻し、ほていやに了承のもと
現在の販売とつながったという歴史があります。
そのおかげで今でもいただくことができているのですね。
一点一点が手作業でつくられいるため、
大量生産は行われずにこの店舗のみの販売となっています。
「松に鶴」と会の始めに
相応しい取り合わせとなりました。
茶会の後は瓢亭へ。
屠蘇から始まり、三宝、つぼつぼと。
なんとも嬉しかったのが
京都といえば白味噌の雑煮。
瓢亭さんで味わえるとは感激です。
丸餅に日の出人参、亀甲大根、神馬草、辛子。
白味噌の優しく上品な甘味に
辛子がアクセント、神馬草の食感が楽しい。
向付、そして
八寸には名物の瓢亭玉子。
箸で持つのも緊張するほど
とろける黄身が絶品。
黄身のこくとほんのりした醤油のあじつけが
口の中で広がります。
三段重ね鉢は瓢箪型の器が愛らしい。
畑菜焼き上げ辛子和え
小鯛塩麹
鴨吉野煮、扇面丸大根と。
そのあとも蒸し物が続き
しっかりと味わい…
そして鶉かゆへ
細かく刻まれた鶉肉の滋味が溢れる出汁の粥に一緒に添えられた香の物が味わいを引き立たせます。
ひとつひとつが丁寧なお仕事で体に染み渡る
まさに命を繋ぐお食事でした。
お部屋の一角には
愛らしい菓子の絵の屏風。
宿への帰りの明かり。
風情良い夜でした。
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