2019年9月、イギリスにて
二か所で和菓子のデモンストレーションを行わせていただきました。
以前、イギリスで買ったマジパンの記事を掲載していたのですが
メインのデモンストレーションの話を書こうかと思います。(遅い)
まずは渡英して
シェイクスピアの生まれ故郷として有名な
ストラトフォード・アポン・エイボン(Stratford-upon-Avon)
の近くにあるコンプトンバーニーアートギャラリー ( Compton Verney Art Gallery & Park)へ。
貴族のマナーハウスを美術館としており
庭園も素晴らしいですね。
ゴルフ場みたいな広さ!
こちらのアートギャラリーでは7月から
“A TEA JOURNEYーfrom the mountain to the tableー”
が開催されていました。
中国の雲南省奥地の茶葉が東洋、ヨーロッパへと渡り
お茶の文化にとどまらず、工芸、建築、哲学、現代アートへと
影響を与えていく様子にフォーカスした
とても興味深いコンセプトの展覧会。
まさに A TEA JOURNEY なのです。
展示はこのように
お茶の樹をモチーフとした現代アートから始まり
お茶にまつわる様々な展示がされていました。
V&Aビクトリア・アンド・アルバート美術館協力のもと
日本財団、野村財団等日本の支援も行われており
日本のお茶文化も展示されておりました。
今回は展示のクローズドイベントとして
茶人 木村先生と芳心会による立礼のお茶会
谷村丹後氏による茶筅作りの実演があり、
あさ貴も同行させていただき
和菓子作りのデモンストレーションを行わせていただきました。
今回のティーセレモニーを行う
茶人 木村宗慎先生の監修、矢嶋一裕氏設計の「傘庵」も展示されておりました。
こちらは野点傘をイメージしたもので
和傘のようにおりたたみ持ち運びできる茶室です。
和傘の素材、機構を用いて
京畳2畳分の茶室空間ができあがります。
そして谷村丹後先生の先々代18代丹後氏の
茶筅茶杓も展示されていました。
時を経て海を渡った海外にて再び子孫と出会う・・
ご縁を感じますね。
さて、芳心会による立礼が始まりました。
イギリス在住のみつこさんによる通訳に
聞き入るギャラリーの方々。
イギリスの皆さん、点前のひとつひとつに
興味津々。
お抹茶の味はいかがでしょう?
あわせて貴重な道具なども
展示されました
製茶・喫茶の技術 が掲載された
中国最古の茶専門書といわれる
「茶経」などを前に
皆さん熱心にご質問されています。
質問に答える木村先生。
中央はギャラリーの学芸員さんです。
さて、別のホールでは
谷村さんによる茶筅作りが行われました。
茶筅と和菓子のイベントの案内を出してくださっています!
茶筅の工程ごとの見本や
いろいろな形状の資料など興味深い展示がされています。
普段は畳の上で胡坐をかいて作業されるそうですが
今回はテーブルでの作業とのこと。
そのハードルを感じさせることなく
一本の竹筒から見事な茶筅に仕上げるまでの工程を
素晴らしい技術でみせてくださいました。
ギャラリーも息をのんで見入っています。
形状の美しさとあわせ、
道具としての使い勝手を持ち合わせるために行う削り方など
細かな技術を惜しみなく披露されていました。
その昔、茶筅仕事は技術が盗まれないように
夜中におこなっていたそうです。
いまやこのように見せていただけるなんて
ありがたいことですね。
さて、私のほうは
上生菓子と和三盆つくりのデモンストレーションを行いました。
上生菓子は
日本の色表現についてのお話をさせていただきたく
まずはきんとんを作りました。
きんとんな目の粗さはかえることがあっても
形状にはさほど変化はありません。
でも色の組み合わせで
表現するものが変わってきます。
これがきんとんの面白さなのです。
今回は四季をあらわしました。
緑と薄紅で春の野山。
水色と白で夏の波。
黄色と橙色で秋の錦繍。
白で冬の雪景色。
和菓子の面白さは
抽象的な形状と色でこのような意味性をもたせ
相手にその解釈をゆだねるところでしょう。
そのやりとりというものが茶の席にはぴったりだったのではないでしょうか。
次の和菓子は具象的なものを。
9月でしたので
作り方をかえた菊を二種。
そしてもうひとつはイギリスの国の花であるバラを作らせていただきました。
餡が花になっていく過程を興味深くご覧いただいました。
そして最後は木型を使った和三盆作りです。
日本の和菓子の道具として
木型をみていただこうといくつか持参していました。
展示にあわせ茶壷、
そして秋らしい兎と鹿。
私の木型は閉店したお店の店主が使っていたものを
ゆずり受けたものです。
彫りも美しくお気にいりです。
目の前で作り方をみていただいたあとに
ギャラリーの皆さんにもつくっていただきました。
木型を選んでいただくのですが
兎が大人気!!
ピーターラビットだと言って選ぶのです。
イギリスで本当に愛されているのですね。
皆さん、いとおしそうに
持ち帰られていました。
和菓子デモンストレーションもおわり
横では谷村さんのご指導で
茶杓つくり体験を・・・
みんな
躊躇なく削り、仕事が早い早い!
わたしも後ほど作らせていただきました!
茶会に和菓子も茶杓も
皆さん楽しそうに体験されていました。
1日目お疲れさまでした。
次の日はオックスフォード大学での
デモンストレーションです。
続く
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