「成巽閣に見る石川の伝統工芸」をテーマに した
成巽閣でのセミナーにお菓子をつくらせていただきました。
成巽閣は13代藩主・前田斉泰が母・眞龍院のために1863年に兼六園に建てた隠居所です。
なんて親孝行なのでしょう…。
国の重要文化財であるこちらの建物は
寄棟造りの2階建ての建造物で
階下は書院造り、階上は数寄屋風書院造りという2つの様式が取り入れられています。
「謁見の間」の花鳥が彫刻された欄間、
「松の間」では小鳥の絵が描かれたオランダ渡来のギヤマンなど、
建具には小鳥や花、小動物などが多くあしらわれており、女性好みの雅な住まいには
母を想う前田斉泰の気持ちが表れていますね。
当日は館長が自らご案内くださって
普段は非公開の茶室「清香院」や「清香書院」を拝見しました。
成巽閣の一室ではお茶席が設けられ、
茶人 木村宗慎氏により加賀藩ゆかりの茶道具について解説いただきました。
国指定重要文化財の成巽閣でのお茶席は
実は初めての席!
このような貴重な機会に陰ながら携われたことを嬉しく思います。
お菓子とともにうつる重箱は
前田家伝来のお弁当箱。
お殿様が外出している時に使っていたものです。なんとも贅沢!
お菓子は
加賀野菜の五郎島金時で作りました黄金色の餡を
純白の ゆり根餡で包んだもの。
銘は「金城霊沢」。
金沢の地名の由来になったといわれる泉のことです。
この湧き水で芋を洗ったところ、砂金がでてきたという伝説があります。
デザインは白をベースに
群青色と金沢金箔をあしらいました。
群青は成巽閣 「群青の間」をはじめ、
金沢独自の建築文化に敬意を表したものです。
泉の一滴のイメージでもありますね。
また、 白は雪もありますが
「始まりの白」となります。
茶の湯、工芸、料亭など様々な文化をうみだした金沢をイメージしました。
小さな男の子がとても美味しそうにたべてくださって、
お菓子のおかわりをお出しさせていただきました。
ともにだされたお菓子は
日本三名菓の長生殿の
これまた珍しい生〆。
普段の長生殿は乾燥させたものですが
蜜を含んだ柔らかい状態を乾燥させずに
密封包装したもので
しっとりとした食感とふわりとした口溶けが
楽しめます。
金沢の文化の一端に触れることができた
良い時間でした。
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