和菓子採集 粽

HPを新しくしました。
皆さまよろしくお願いいたします。
そこで過去のブログ「和菓子あさき 和菓子あれこれ」より記事を転載いたします。
昨年掲載した粽の記事です。
もうすぐまた粽の季節になろうとしています。
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風の気持ちのよい季節となりました。
行事と和菓子はきっても切り離せないもので
この時期の和菓子屋さんは端午の節句で忙しくなります。
端午の節句では関東では柏餅、関西では粽をたべる風習があります。
今日はそのなかの粽のお話を…。
柏餅は日本の菓子ですが
粽は行事とともに中国から渡来したものです。
中国には粽にまつわる伝説があります。
紀元前4世紀頃、楚の国の王族の屈原(くつげん)という人が意見を聞き入れない王に絶望して洞庭湖畔に身を投げました。
その死を悲しんだ人々が命日の5月5日に供物を湖に捧げていたところ、夢に屈原があらわれ
「湖にすむ悪龍に供物を横取りされ、自分の口にははいらない」と告げました。
そこで供物を葦の葉で巻き、牛の角のような尖った形にして悪龍がたべないようにしたといわれています。
この故事から中国では五月五日の節句に粽をつくり、親戚知人に配る風習がありました。
それが後に厄をよけるための宮中行事、端午の節句となり、やがて日本に伝わったとされています。
いまでは粽も広まり、関東でも多くの和菓子屋さんがてがけております。
ということで、今回は粽をいくつか比べてみました。
粽は5本、3本と円錐形に束ねられています。
最近は一本売りしてくれるところもありますが、すくっと安定して束ねられている姿は美しいですね。


岬屋 
代々木上原にある岬屋さん。
こちらは水羊羹が名物のお店。
粽は吉野葛と上白糖でできた「水仙粽」とそこに小豆漉し餡をくわえた「羊羹粽」の二種類があります。
好みは分かれるところですが今回は水仙粽を。
後述のとらやの水仙粽にくらべると固めのもっちりした仕上がりで歯ごたえも楽しめます。本返しの仕上からでしょうか。


とらや
こちらは3種。
お店では一種で束ねられたものが販売されていますが、事前にお願いしておくと好きな取り合わせで束ねてもくれるそうです。
水仙粽は葛粉、砂糖に羊羹粽は同じく小豆漉し餡を加えたもの。
特徴的なものは外郎粽。これは中双糖に白下糖を加えてつくられています。
白下糖とは和三盆糖をつくる前に糖汁をにつめた粗糖の塊です。ここから研ぐと和三盆糖になります。
外郎なのでむちっとした食感はありますが色のイメージと違い甘みはかなりすっきりしており、すーっと水のように甘さがひいていきます。外郎でも何本でも食べられそう。
水仙粽は白くみずみずしさがあり、プルプルと柔らかい仕上がり。葛特有の風味もあり葛好きにはたまりません。
羊羹粽と同様に柔らかく上品な甘みのなかに小豆がいきる仕上がりとなっています。
笹の香りも程よくついており、季節を感じることができます。


最後は
月乃舎
こちらは初めて。
なんか聞き覚えが…と思ったら桑名の花乃屋さんで修行されていたようです。
粽の形は今回のなかでは一番ずんぐりとした可愛らしい形。
あけてみるとなんとねじり粽。
なかなかねじり粽はお目にかからないですね。
ねじり粽といえば三色の道喜…はぁ食べたい
さてこちらは色により味が違いました。
ピンクが外郎のみ、茶が黒糖、緑は蓬。
全体にむっちりと歯ごたえがあり、すいつく感じで外郎のせいか甘みも一番しっかり(とはいえ上品)
蓬の香りも高く、清々しく季節ものをあじわっている楽しみがあります。
3本それぞれだとなんかお得感がありますよね。
粽ははなびら餅のときよりお店により特徴が違い面白い食べ比べでした。
もっと食べ比べたいところですが、束なので食べられる量も限られるところが悲しいところ。
次回をまた楽しみにしたいと思います


2017年5月5日

和菓子あさ貴

普段の生活のなかでに ふと気づく季節の移ろい、 日本のよきものを 和菓子教室を通じて おつたえしていきます。

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